設計図のないプリント基板を複製することは可能?

通常、プリント基板を製作するためには、基となる回路図や部品表などの資料が必要であり、基板メーカーに発注する場合は一般的にガーバーデータが必要です。しかし、現物としてプリント基板を持っていても、回路図やガーバーデータなど基板製作に必要となる設計図が手元に無いという事態は決して珍しいことではありません。さらに、設計図を失ってしまっただけではなく、当時依頼した基板メーカーが無くなってしまった場合や、担当者が退職してしまった場合、追加で製作したくてもできないのではないかと考える人も多いのではないでしょうか。また、このような状況下で、はじめからプリント基板を製作するとなると多くの手間やコストがかかってしまいます。しかし、メーカーの中には、現物基板からの複製するサービスを提供しているメーカーも存在するため、設計図のないプリント基板であっても複製可能です。

設計図のないプリント基板を複製する大まかな流れとしては、現物のプリント基板から製造に必要となるデータを作成してから、通常のプリント基板と同様の工程で製造します。現物基板から製造データを作成することは、リバースエンジニアリングと呼ばれており、多くの基板メーカーがこのサービスを提供しています。リバースエンジニアリングとは基板の製造とは逆の工程で進めていくもので、基板の分解と解析を行いながら基板のもととなるデータを作成することです。

リーバースエンジニアリングでは、まずプリント基板から電子部品を外して、各種測定を行うことで部品表の作成が行われます。それと並行して、回路パターンの読み取りが行われますが、多層基板の場合はX線撮影をしてから、基板を1層ずつ剥離しながら回路パターンを確認していき、各電子部品の接続情報を読み取っていきます。これらの情報をもとにして、回路図を作成するというのがリバースエンジニアリングの大まかな流れです。なお、メーカーに提出した現物基板は、電子部品が取り外されるとともに切削されるため、基盤として使用できない状態となる点は注意しなければいけません。

また、回路図やガーバーデータのみの復元であっても対応可能であったり、ユニバーサル基板で作成した回路からデータを作成したりするサービスを提供しているメーカーも存在します。また、リバースエンジニアリングは、競合他社の基板の調査目的で行われることも珍しくありません。単に、調査目的でリバースエンジニアリングを行うことは違法とはなりませんが、これによって得られる情報の中には特許や著作権で守られているものが存在します。そのため、リバースエンジニアリングで得た情報をそのまま使用することは法律違反になる可能性があるため十分に注意する必要があります。